杉並区役所
日本自治委員会は6月1日、任期満了に伴う東京都杉並区長選(6月21日告示・6月28日投開票)で、前区議の大和田伸氏を準支持すると決めた。
大和田氏は5月23日、委員会の政策要求に回答し、区長部局にいじめ対応専従部署を設置して早期解決する「寝屋川方式」を「私の公約の柱」と強調し、強力に推進する考えを示した。
また、
▼かつて行っていた小学生・中学生区議会事業の再開、
▼小学生の朝の居場所活動の本格的展開、
▼区立学校家庭科室を活用した子ども食堂、
▼校内での朝食提供事業
なども検討する。
一方、大和田氏は区の子どもの権利条例をめぐり、「親や大人が子どもを育てる責任」という視点が不十分であるため、国のこども基本法に則った条例とすべき」と指摘。ブラック校則廃止に対する言及もなかった。このため支持決定までは至らず、準支持とした。
杉並区長選にはこれまでに大和田氏のほか、現職の岸本聡子氏、前区長の田中良氏、国際ビジネスコンサルタントの増田よしひこ氏、日本結束党副統領の上梨ゆうすけ氏が立候補の意向を表明している。現在までに委員会の政策要求に回答したのは大和田氏のみ。
◆政策要求全文◆
子どもへの人権侵害を許さない
・ 学校(学校教育法第1条に規定する学校)において児童生徒を規律し、その行動を制限する校則等(「生徒心得」「生活の決まり」「ドレスコード」等の名称いかんを問わず実態として前記定義に該当する規律すべて。)について、児童生徒の人権を侵害する条項(いわゆる「プラック校則」)を直ちに廃止し、校則等の内容をすべての区立学校のホームページ上に公開すること。
・いじめ、教職員による児童生徒に対する暴力行為及び性暴力等の犯罪行為並びに暴言等の不適切指導につき、児童生徒の心身生命の安全及び人権並びに尊厳を守るため、都道府県知事及び政令指定都市市長並びに区長の権限において、児童生徒及び保護者等から直接通報 ・相談を受ける窓口を運営すること、並びに迅速な調査及び加害者に対する懲戒処分を勧告できる制度を整備すること。(参考:寝屋川市「監察課」)
・ 教職員による盗撮等の性暴力が全国的に問題となっている。教職員による性暴力を防止するため、必要な対策を可能な限り講じること。
対策の例:
・職員や児童生徒が性暴力を直接通報できる窓口の設置および周知
・ 廊下や昇降口、校内の死角などへの防犯カメラの設置(ただし児童生徒のプライバシー ・人権を侵害しないように配慮すること)
・職員の私物または学校備品のカメラ付き電子機器の厳重な管理
・教職員と児童生徒がー対一かつ密室になるような環境を作らないような工夫 ・環境整備
・子どもたちに対し、性暴力から身を守るための知識を学ぶ特別授業の実施
・性暴力が発生した場合、被害児童生徒への心のケアおよび関連機関への連携
・ 学校行事について、参加を強制 ・強要せず、不参加 ・欠席した児童生徒に不利益が生じることがないようにすること。
・杉並区では、4年間いじめ事案への不適切な対応がなされていたことが明らかになっている。いじめ重大事案の処理遅滞を含め、適切な対応を行えていなかったことを踏まえ、区長部局において適切な対応を遅滞なく実施すること。
子どもの意見表明機会及び権利行使の場の確保
・ 学校において、児童生徒による自治組織の権限を拡充(例、予算編成、学校のルール制定、学校運営に関する校長に対する要求等)し、児童生徒による学校運営への参画権を確保すること。
・ 子どもたちが選挙で選ぶ「子ども議会」「子ども首長」を設置し、子どもたちの要望を子どもたち自身で実現したり、行政に反映できるようにすること。
・ 子どもが安心して自らの意見を表明できるよう、こどもコミッショナーを置くこと。
・ 子どもたちが自ら有する権利を把握し、行使できるように日本国憲法や子どもの権利条約について学ぶことができる機会を提供すること。
・ 子どもたちの表現 ・創作活動の自由を保障し、教育職員が検問や妨害を行わないようにすること。
困難な状況下にある子どもたちへの支援
・ 子ども食堂をくまなく整備し、放課後の児童生徒の居場所機能、ヤングケアラーへの支援、賞困家庭児童生徒に対する無償給食支援を包括的に提供すること。
・ ヤングケアラーの子どもがケア労働をしなくても良くなるような公的支援(例:介護 ・看護 ・保育 ・家事代行等サービスの提供、心のケア、経済的支援、学習支援等)を行うこと。
・ 公立学校の女子トイレで生理用品を無償配布することで、女子児童生徒の「生理の貸困」を撲滅すること。
・ 不登校児童 ・生徒の居場所及び学習の機会の確保のため、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)を整備すること。
・ 事情により長期にわたり学校に通えない児童生徒に対し、登校せずに自宅でオンライン双方向授業を受けられる体制を整備すること。
・知的障がいを対象とした特別支援学級に加え、知的障がいを伴わない発達障がい(ASD、ADHD、LD)を対象とした特別支援学級を公立学校にそれぞれ配置し、発達障がいを持つ児童生徒が安心して学習できる環境および療育の機会を提供すること。
(注:障がいの有無に関わらず同じ学級で学ぶ「インクルーシブ教育」は、障がい児へのいじめ、教員への負担、障がい特性に応じた適切な環境が整備されない、障がい特性に応じた適切な教育を受ける機会が得られないなど、現状では課題が。委員会の発達障がいを抱える自治員からも「親の意向で通常級に通うことを強制されたが、十分に受けられず、同級生からいじめを受けた。学校が死ぬほどとても辛かった」という意見があります)
・ 普通学級の児童生徒に対し、発達障がいの障がい特性に関して学ぶ機会を設け、障がいへの理解を深めるとともに、障がいを持つ児室生徒へのいじめを防止すること。
学校経営および教育委員会の改善
・ 共働き ・ひとり親世帯において、子どもの小学校入学後、朝の子どもの預かり先がなくなり、子どもが登校時間前から校門前で待機せざるを得ない状況が発生している。早くからの登校を許可するなどの取り組みを行い、早くから登校している子どもの安全を確保すること。
・ 深刻化する教員不足に対し、ICTを活用するとともに、教員業務支援員を積極的に雇用し、可能な限り対処すること。
・ 他自治体において、教育長の任命後、教育長が過去に問題を起こしていたことが判明する事例が発生している(東京都渋谷区、武蔵野市など)。教育委員会教育長、教育委員の任命にあたっては、議会において公聴会を開催し、任命を受ける者が過去に問題を起こしていないかどうか検証する機会を十分に確保するよう法 ・条例を整備すること。
◆大和田氏の回答◆
ご意見ご要望ありがとうございました。
内容が多岐にわたるため、大項目毎にご回答させていただきます。
【子どもへの人権侵害を許さない】
「いじめから“真に子どもを守る”体制の構築」は私の公約の柱のひとつであり、区長直轄組織で「いじめを直ちに止める」体制を構築します。そのため、先進事例である寝屋川市に本年(令和8年)5月に伺い、広瀬市長から直接お話を伺いました。
なお、区議会在籍中は、「いじめの防止等に関する条例」の策定を提案し、令和6年度に実現しています。
子どもの性被害防止対策については、こども性暴力防止法に基づき、日本版DBSの施行が令和8年12月25日に予定されていることからも、取組を強化する必要があると考えております。
ただ、教育現場における加害者の約9割は初犯といわれており、過去の犯罪を追うだけでは十分ではないと考えております。
そこで、反社会的勢力排除(暴排)条項を応用して、採用時に「表明確約型誓約書」を導入し、性犯罪リスク対策を行うこと等、どのような施策がより効果的か、研究を進めていきたいと思っております。
いただいたご提案も、その一環で研究させていただきたく思います。
【子どもの意見表明機会及び権利行使の場の確保】
杉並区では、令和6年度に「子どもの権利に関する条例」が制定されました。
しかしながら、現在の条例は、「親や大人が子どもを育てる責任」という視点が不十分であるため、国の「こども基本法」に則った条例とすべきと考えております。
なお、杉並区では、区議会の協力のもと、かつて「小学生区議会」「中学生区議会」を実施しておりました。多様な方のご意見を行政に反映できるようにするため、再開を検討したいと思っております。
【困難な状況下にある子どもたちへの支援】
杉並区には、44のこども食堂があります(令和7年9月19日現在)。
「杉並子ども食堂ネットワーク」と連携し、食を通じた見守り支援事業を充実できるよう、きめ細かい取組を行いたいと思います。
また、「区立施設の積極活用」の一環として、学校家庭科室を活用した子ども食堂の開催を研究したいと思います。
ヤングケアラー支援としては、江戸川区のようにヤングケアラー・コーディネーターを配置し、ヤングケアラー支援の充実を図りたいと思っております。
学びの多様化学校については、令和10年度に開設予定ですので、着実に進めていきたいと思います。
「インクルーシブ教育」については、ご指摘の課題は私も感じており、こうしたご意見をお寄せいただいたこと、ありがたく思います。
【学校経営および教育委員会の改善】
杉並区では、現在、「小学生の朝の居場所活動」について、モデル的に取り組んでおります。早期に本格展開を目指したいと思います。なお、校内朝食の提供についても研究していきたいと考えております。
杉並区では、かつて独自に区費教員を採用しており、最大時には100人を超えておりました。
教育の質向上に向けた人的支援を強化するため、区費教員や加配職員を充実させていきたいと思っております。

