日本自治委員会は、4月8日、東京・目黒区長選および目黒区議補選の立候補予定者に対し、政策要求書を送付しました。
政策要求書では、日本自治委員会の主要政策である▽ブラック校則の廃止や校則の完全公開、▽児童生徒の自治組織の権限拡充、▽区長部局でのいじめ・体罰・不適切指導の調査をはじめ、▽学びの多様化学校の新設、▽自宅でオンライン双方向授業を受けられる体制の整備などの不登校施策に注力することなどを求めています。
また4年前の2020年に発生した「目黒九中事件」の責任追及や、いじめ自死事件発生時に町田市立町田第五小学校副校長だった目黒区立小学校長の区外への転任を求めています。
目黒区長選挙には、現職の青木英二区長、自民党推薦の河野陽子前区議、都民ファーストの会推薦の伊藤悠都議、立憲民主党推薦の西崎翔都議の4人が立候補の意向を表明しています。
また、区議補選には、立憲民主党公認の橋本祥平前区議、自民党公認の新井佳代子氏が立候補を表明しています。
政策要求書全文
1.目黒区立小中学校において児童生徒を規律し、その行動を制限する「生活のきまり」「校則」等(以下「校則等」という。)について、いかなる名称を問わず、児童生徒の人権を侵害する条項(いわゆる「ブラック校則」)を直ちに廃止し、校則等の内容をすべての目黒区立小中学校のホームページ上に公開すること。
2.目黒区立小中学校において、児童生徒による自治組織の権限を拡充(例、予算編成、学校のルール制定、学校運営に関する校長に対する要求等)し、児童生徒による学校運営への参画権を確保すること。
3.子どもたちが選挙で選ぶ「子ども議会」「子ども区長」を設置し、子どもたちの要望を子どもたち自身で実現したり、区政に反映できるようにすること。(参考:山形県遊佐町「少年町長、少年議会」)
4.いじめ・体罰や不適切な指導等学校内で発生する児童生徒の人権の危機に迅速に対処するため、区長部局に「監察課」を設置し、加害者・被害者及び学校等に対して直接調査を行い、必要に応じ区長が教育委員会に対し、加害児童生徒の出席停止や加害教育職員の懲戒処分を求める勧告を出せるようにすること。また、児童生徒・保護者が区長部局に直接通報できる仕組みを整備すること。(参考:寝屋川市「登校選択制」)
5.子どもたちが自ら有する権利を把握し、行使できるように日本国憲法や子どもの権利条約について学ぶことができる機会を提供すること。
6.目黒区立小中学校において現在行われている給食費無償化を継続すること。
7.目黒区立小中学校において、補助教材や授業で使う道具(楽器・絵の具・実験器具等)の学用品を無償化し、子育て世帯の教育に関わる費用の負担軽減を図ること。
8.不登校児童・生徒の居場所及び学習の機会の確保のため、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)を新設し、不登校児童・生徒の支援を図ること。
9.目黒区立小中学校の女子トイレに生理用品を設置し、無償配布することで、女子児童・生徒の「生理の貧困」に対応すること。(参考:都立高校における生理用品無償配布)
10.不登校の児童生徒や事情により長期にわたり学校に通えない児童生徒に対し、登校せずに自宅でオンライン双方向授業を受けられる体制を整備すること。
11.区営の子ども食堂を区内にくまなく整備し、放課後の児童生徒の居場所機能、ヤングケアラーへの支援、貧困家庭児童生徒に対する無償給食支援を包括的に提供すること。
12.区独自で教員を任用し、学級規模をさらに少人数化すること(目安としては25人学級)。また習熟度別クラス編成により、学習遅れ児童生徒へのフォロー体制を強化すること。
13.放課後や休日に児童生徒が無料で学べる「区営学習塾」を開設し、上位都立高校に経済負担なく進学できる体制を構築するとともに、学習遅れ児童生徒へのフォロー体制を確保すること。
14.部活動の地域移行を強力に推進し、「学校の部活動」から「区の部活動」に再編すること。教員による顧問制から外部指導員を中心とした部活動運営に切り替え、教員の負担軽減と本務に集中できる環境を整えること。(参考:渋谷区「渋谷ユナイテッド」事業)
15.2020年、町田市の小学6年生の女児がいじめを訴える遺書を残し自殺した問題について、当時女児が通っていた小学校の副校長であった目黒区立小学校長の区外への転任を東京都教育委員会に求めること。
16.2020年7月に発生した目黒区立第九中学校事件の再調査及び再発防止の為の責任追及を東京都教育委員会に求めること。
17.目黒区民センター再開発計画について、建築的にも価値の高い目黒区美術館の取り壊しを撤回すること。また、下目黒小学校の建て替えについても、仮校舎への移転等、子どもへの負担が懸念されるため、計画を見直すこと。
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