埼玉県東部の県立高校で防寒具を着用した生徒が執拗に「指導」される事案があり、日本自治委員会が外交活動を通じて「指導」を中止させたことが、10日わかりました。


生徒が防寒対策を理由にブランケットやダウンパンツを着用したところ、教師から校則違反を理由に授業中や放課後に執拗に「指導」を受け続ける事態に発展。一部の「指導」は2時間を超える長時間にわたって行われました。

教師は「常識を受け入れないことで、今回のように嫌な思いをすることがあるのではないか」と生徒への人権侵害を正当化。教頭も生徒の母親に対し「理解するまでお話したい」「お母さんが言ってくれれば本人は直ると思った」などと述べるなど、あくまで学校の考え方を強要する姿勢に終始しました。

学校の校則にこだわる姿勢に生徒が苦痛を感じていたことから、関係者が先月22日、日本自治委員会に相談。日本自治委員会が先月23日付で県教育委員会と同校に対して事実確認を求める文書を送付しました。文書では、学校の指導について「重大な人権侵害で到底許されない」「教育テロ」だと厳しく批判。県教委が発出した校則見直し通知の周知徹底が不十分だとして、遺憾の意を表明しました。

学校側は一転「防寒対策容認」
日本自治委員会の動きを受け、学校は職員会議で対応を検討。先月28日、これまでの対応を一変させ、女子生徒側の主張を受け入れ、防寒を目的に女性用ダウンパンツを履くことを容認しました。

県教委も先月31日、県立学校長らに県教委の通知を再確認をさせ、校則の点検・見直しと適切な運用を学校現場に継続的に指導することを約束しました。

学校現場に「人権擁護」周知徹底を
日本自治委員会の久保田美菜広報課長は13日、「学校と県教委の迅速なご対応に感謝したい。」と述べたうえで被害生徒を「特例扱い」で処遇して終わらせるのではなく、抜本的に校則や生徒指導を見直すべきとの考えを示しました。久保田氏は「一昨年県立鳩山高校の事案の際も、最終的に『特例扱い』のような運用で、嫌味を言われ続けたと聞いている。そのようなことは断じて許さない。特例ではなく、生徒の人権を、尊厳をきちんと守る方向に学校関係者の意識を変える必要がある。」と指摘しました。

校民日報社©2023
無断複製・転載禁止
このエントリーをはてなブックマークに追加