任期満了に伴う品川区長選が9月25日告示され、新人6人が立候補しました。

立候補したのは届け出順に、無所属の山本康行氏(46)、共産党推薦で無所属の元大学教授の村川浩一氏(75)、政治団体「品川に維新を起こす会」代表で元区議・大西光広氏(65)、自民党推薦で無所属の前区議・石田秀男氏(63)、無所属の前都議・森澤恭子氏(43)、無所属の前区議・西本貴子氏(61)の6人です。

4期16年務めた現職の濱野健区長が不出馬を表明し、新人6人の争いになりました。選挙戦では多くの候補が給食費の無償化を掲げるなど、子ども・教育政策をめぐっても盛んに論戦が行われる見通しです。品川区長選の投票日は10月2日で、即日開票されます。

日本自治委員会の政策要求に4人が回答
日本自治委員会は、品川区長選に立候補した6人に対し、▽セクハラ指導容認答弁の撤回、▽人権侵害校則の廃止、▽学校運営・区政への子どもの意見の反映、▽区長部局でのいじめ・体罰調査、▽登校選択制、▽給食無償化など12項目の政策の実現を要求しました。日本自治委員会によりますと、これまでに山本氏、石田氏、森澤氏、西本氏の4人が回答しています。

山本氏 目玉政策に「子ども議会」設置 対面重視で登校選択制に否定的
山本康行_品川区_20220916_玉井殿内撮影_トリミング
山本康行氏
山本氏は、▽子ども議会の設置、▽給食費の無償化、▽子どもの権利条約や憲法の学習機会が得られる取り組みの整備を進める考えを示しました。

校則については、「区長や行政の一存ではなく、生徒・保護者・地域の意見も踏まえて決定すべき」と回答。米田教育次長のセクハラ指導容認答弁については、「詳細な経緯を把握した上で、必要な対応を取っていきたい」と答えました。

子どもの学校運営への意見表明や一部参画については、「実践に向けてのハードルは低くなく、保護者や教員の意思改革も必要」として、「あくまでも必要な学習環境を整備するという観点に照らして判断されるべき」と答えました。

いじめ対策については、「他の自治体の取り組みも参考にしながら、本当に子どもたちのためになり、いじめの防止につながる仕組みを整備していきたい」と述べるにとどめ、具体的な施策は示しませんでした。

山本氏は、4人の中で最も強く”対面授業重視”。「不登校や病気などのやむを得ない場合の代替措置の確保は重要」としたものの、平時のオンライン学習などの選択制について、「必ずしも優先度が高い教育施策とは考えていない」と答えるなど、登校選択制を否定しました。

石田氏 ブラック校則廃止・いじめ対策部署設置には慎重姿勢
石田秀男_品川区議_20220909_丸谷希唯_加工済
石田秀男氏
石田氏は、▽給食費無償化、▽「子どもの権利条約」への認識を深める学習を進める考えを示しました。

しかし、校則については、「学校の実態を踏まえ、児童・生徒や保護者・地域の声を聞きつつ適宜見直しを図り、全体の理解を深めていくことが大切」と指摘。そのうえで国の新指針が示され次第、対応するとの回答にとどめました。

また、いじめ対策では既存の条例に基づき対応する考えを示し、区長直轄の専門部署の設置を求めた日本自治委員会の要求に応じませんでした。

さらに感染拡大時のオンライン双方向授業については、「学校に登校しての教育活動を極力止めないことが一番大事だ」と‟対面授業重視”を強調。やむを得ない場合はオンライン双方向授業を行う考えを示しました。

森澤氏 子ども主体の校則見直し 教育委員の公募
森澤恭子_前都議会議員_20220917_玉井殿内撮影_トリミング
森澤恭子氏
森澤氏は、▽児童生徒が主体的に校則を見直すこと、▽児童生徒の意見が反映される学校運営、▽不登校児も対象に含めた双方向オンライン授業態勢の確立、▽給食の段階的無償化、▽教育委員の公募、▽子どもの権利を伝える機会の確保を明言。さらに森澤氏は、▽登校選択制導入、▽いじめ早期把握と解決のための専用部署の設置を検討する考えを示しました。多くの点で日本自治委員会の政策要求を受け入れました。

また、森澤氏は、米田教育次長の答弁撤回要求について「米田教育次長が答弁した時点では、都議を務めており、その答弁に至る経過を存じ上げない。その状況で「撤回」を結論付けることは不誠実な対応。区長になることができれば、速やかに状況確認を行う。」と述べました。

西本氏 「セクハラ指導容認」答弁は「誤解される部分がある」
西本貴子氏(ご本人提供)
西本貴子氏(本人提供)
西本氏は、米田教育次長の「セクハラ指導容認」答弁について、「次長の答弁及び質問者の内容も誤解される部分がある」と指摘。米田次長の答弁撤回に消極的な姿勢を示しました。

そのうえで校則について、「生徒たちの自主性に任せて議論するところから校則の見直しを図りたい」と述べました。

いじめ対策については、「品川区に置いていじめ問題解決は不十分」と指摘しつつも、具体的な施策は明示せず、「地域の力を借りながら進めていく」と答えました。

自宅でのオンライン授業については、「コロナ禍やこれから登校できない事態が起きた時、不登校等で登校できない児童・生徒の教育環境としては一つの教育ツールとして拡充していきたい」と答えました。

教育委員会の人事については、「議会に議案が提出されたときに調査は行っているはず」として新たな仕組みの導入には否定的な考えを示しました。

大西、村川両氏は期日までに回答なし
このほか大西光広(諸派)、村川浩一(共産推薦)両氏は、期日までに回答しませんでした。

◇政策要求の内容と各氏の回答全文◇

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