西本貴子氏(ご本人提供)
西本貴子氏(本人提供)
10月2日投開票される品川区長選に立候補の意向を表明している西本貴子・品川区議が、9月17日、日本自治委員会の政策要求に回答しました。

西本氏は、米田教育次長の「セクハラ指導容認」答弁について、「次長の答弁及び質問者の内容も誤解される部分がある。両者の観点がずれているので大切な校則に関する議論が深まっていない。」と指摘。そのうえで「校則のあり方は今後大きく変えなければならない」として、「生徒たちの自主性に任せて議論するところから校則の見直しを図りたい」と述べました。

また、生徒自治組織の権限の拡充や子ども議会・子ども区長の実現については、「非常に大切な視点」としつつも、「生徒たちに意識がどこまであるか、学習と実践を踏まえて実現できるようにしたいと思っている。可能性を図っていきたい。」と答えました。

いじめ対策については、「品川区においていじめ問題解決は不十分」と指摘。「15年から議会で取り上げている。『いじめはあるものとして対応策を考えていくべきだ』と主張したが受け入れられなかった。」と述べましたが、具体的な施策は明示せず、「地域の力を借りながら進めていく」と答えました。

自宅でのオンライン授業については、「コロナ禍やこれから投稿できない事態が起きた時、不登校等で登校できない児童・生徒の教育環境としては一つの教育ツールとして拡充していきたい」と答え、おおむね、日本自治委員会の要求に応じました。

一方で、子どもたちの表現・創作活動への検閲をしないよう求める要求に対しては、「品川区において現在、問題として指摘されたことはない」として実態調査が必要だという考えを示しました。

さらに教育委員会人事については、「議会に議案が提出されたときに調査は行っているはず」として公聴会など新たな仕組みの導入には否定的な見解を示しました。

<参考>日本自治委員会の政策要求と西本氏の回答(比較対照)
要求1 米田教育次長の「セクハラ指導容認」答弁の撤回を。
西本氏の回答 この発言は私も直接聞いております。次長の答弁及び質問者の内容も誤解される部分があると思います。両者の観点がずれているので、大切な校則に関する議論が深まっていないと思います。
要求2 「生活のきまり」 「校則」等(以下「校則等」という。)について、児童生徒の人権を侵害する条項を直ちに 廃止し、校則等の内容をすべての区立小中学校および義務教育学校のホームページ上に公開すること。
西本氏の回答 校則のあり方は今後大きく変えなければならないと考えています。生徒と共に考えていると教育委員会は答弁しているのですが、事実はどうか、調査が必要と考えています。まずは、生徒たちの自主性に任せて議論するところから校則の見直しを図りたいと考えます。
要求3 児童生徒による自治組織の権限を拡充し、児童生徒による学校運営への参画権確保を。
要求4 「子ども議会」「子ども区長」を設置し、子どもたちの要望を子どもたち自身で実現したり、区政に反映できるようにすること
西本氏の回答 これは非常に大切な視点と考えますが、生徒たちに意識がどこまであるか、学習と実践を踏まえ実現できるようにしたいと思っています。可能性を図っていきたいと思います。
要求5 いじめ・「体罰」等に迅速に対処するため、区長部局に「監察課」を設置し、加害者・被害者や学校などに直接調査し、出席停止や懲戒処分の勧告権付与を。また、児童生徒・保護者が区長部局に直接通報できる仕組みを。
西本氏の回答 品川区においていじめ問題解決は不十分と考えています。いじめに関して、15年前から私は議会で取り上げています。今より教育委員会の意識が低く、当時の教育長は「品川区の公立学校にはいじめはありません」と答弁し、非常に驚いた経験があります。私はその時、「いじめはあるものとして対応策を考えていくべきだ」と主張しましたが受け入れられませんでした。その後、いじめ問題が社会問題となり、品川区でも自殺など問題が発覚し、言い訳が通用しなくなりました。しかしながら、加害者の生徒たちはいじめの認識がない事や、その保護者も意識がないことが大半です。さらに教員の中でも認識の差があります。意識をどう教育するかから始めないと根本的な問題解決にならないと私は考えています。スクールバディー等を取り組んでいる公立学校もありますが、成果に疑問があります。今後児童相談所が開設にあたって、いじめ問題や虐待等、品川区の特徴である地域の力をお借りしながら進めていきたいと考えています。
要求6 重大な感染症の流行時に児童生徒が自宅でオンライン双方向型授業を受けられる体制整備を進め、感染拡大時は、直ちに双方向オンライン授業に切り替えること。
要求7 感染への不安を訴える児童生徒や不登校の児童生徒が登校せずに自宅でオンライン授業を受けられる「登校選択制」実現を。
西本氏の回答 オンライン授業は今後更に拡充していかねばなりません。予算特別委員会でオンライン授業の拡充とリスクについて提言をしました。コロナ禍やこれから登校できない事態が起きた時、不登校等で登校できない児童・生徒の教育環境としては一つの教育ツールとして拡充していきたいと考えています。合わせて利用する教員の研修、活用スキルの向上は必須事項です。かなり前になりますが電子黒板の採用を提言し、採用され、数校で試行していただきました。ITC活用の先駆的な取り組みと思います。
要求8 区営の子ども食堂を区内にくまなく整備し、放課後の児童生徒の居場所機能・学習支援サービス・貧困家庭児童生徒に対する無償給食支援提供を。
西本氏の回答 品川区の子ども食堂は、区民の皆様の自主的な活動です。それを支援し、拡大をしています。子ども食堂の成り立ちを大切にしていきたいと思います。放課後の居場所づくりは児童センターの役割を拡大し、支援を主張し実現してきました。さらに全児童対策であるすまいるスクールに学童保育機能を付加させてきました。保護者の生活、仕事の環境が変化してきていますのでそれに応じて児童生徒の居場所作りを拡充していきます。障害のある児童生徒の対応が不十分であるので対策を講じていきます。給食の無償化は、国も都も前向きに考えていることから、合わせて制度設計をしていきます。
要求9 子どもたちの表現・創作活動の自由を保障し、教育職員が検閲や妨害を行わないようにすること。
西本氏の回答 品川区おいて現在、問題として指摘されたことはないので品川区の実態調査は必要と考えます。
要求10 給食費の段階的無償化を。
西本氏の回答 (回答無し)
要求11 教育委員会教育長・教育委員の任命にあたっては、区議会で公聴会を開催し、任命を受ける者が過去に問題を起こしていないかどうか検証する機会を十分に確保すること。
西本氏の回答 区長からの推薦を受け、議会で承認をすることになっています。議会に議案が提出されたときに調査は行っているはずです。品川区で問題となったことはありません。
要求12 子どもたちが自ら有する権利を把握し、行使できるように日本国憲法や子どもの権利条約について学ぶことができる機会を提供すること。
西本氏の回答 学習の場は設けられていると考えていますが十分であるかは、検討することは必要と考えます。

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