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来年度予算を発表する森澤区長(2日、品川区役所第二庁舎=丸谷希唯撮影)
森澤恭子品川区長は2日、2023年度一般会計予算案を発表し、こども・子育て政策を中心とした新規事業を相次ぎ示しました。総額は1987億9400万円で、昨年比5%増となりました。

給食費無償化、「こどもの意見の区政反映」が実現
森澤区長は「子育て3つの無償化」として選挙戦中に掲げた、▽給食費無償化(13.4億)、▽第2子以降の保育料無償化(4.9億)、▽高校生の医療費無償化(2.7億)を予算に計上。いずれも所得制限は設けず4月から実現します。第2子以降の保育料無償化は10月から実現する都に先駆けての実現となります。

また、子育て世帯の孤立防止・経済支援のための「0歳児おむつ宅配」(1.8億)、こども家庭庁=4月に発足=のモデル事業として保育所の空き定員を利用した未就園児を週1~2日預かる事業(758万)を実現します。

このほか15歳以上の区民約36万人を対象にした区政アンケートに9816.5万円を計上。「羽田新飛行ルート」問題を含めた区政全般について、郵送やインターネットを通じて区民の意見を収集します。同事業では児童生徒を対象にしたアンケートも別途実施します。日本自治委員会が要求した「こどもの意見の区政への反映」が実現されることとなりました。

いじめ専門部署公約は先送り?
一方でいじめ対策専門部署の設置については予算に計上せず、政府が進める首長部局でのいじめ対応の実証事業への参加も明言しませんでした。森澤区長は、「品川区ではすでに「HEARTS」という形で取り組みを行っている。課題が何かあれば今後また検討していくというところになるかと思う。」と述べ、区教育委員会がこれまで続けてきた取り組みを継続する考えを示しました。
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中島豊・品川区教育長(2日、丸谷希唯撮影)
また、区教育委員会の中島豊教育長も「今後の可能性としてはいろんな部分もまた私たちも研究していかなければならない」と述べるにとどめました。

森澤区長は公約撤回を否定したものの、「様々な多様な状況があるので、今の現状も含めていろいろ検討していくことが必要」と煮え切らない答弁に終始しました。

日本自治委員会は、森澤氏などに示した政策要求書の中で首長部局へのいじめ対策専門部署の設置を強く求めていて、森澤氏も「優先度の高い公約の一つ」と応じていました。こうしたことから日本自治委員会の上原瑞貴第1副議長は6日、「森澤区長の発言は公約の先送り、あるいは破棄と捉えるべき重大なものだ。国がせっかく実証事業をやろうと言っているのに手を挙げるそぶりもなく、区教委の言い分を垂れ流している。これは公約破りではないか。」と強い懸念を表明しました。

一方で上原副議長は、「給食費無償化や子どもの意見の区政への反映が迅速に実現されたことは評価したい」とも述べ、「是々非々」の姿勢で森澤区政に対峙していく考えを示しました。
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