
品川区長選への立候補の意向を示している森澤恭子・前都議は、8月30日、日本自治委員会の政策要求に回答し、▽登校選択制実現、▽オンライン双方向授業の確立、▽給食費の段階的無償化のなど一部の要求に応じる考えを示しました。
森澤氏は、回答の中で、▽児童生徒が主体的に校則を見直すこと、▽児童生徒の意見が反映される学校運営、▽不登校児も対象に含めた双方向オンライン授業態勢の確立、▽給食の段階的無償化への取り組みを明言。さらに森澤氏は、▽登校選択制導入、▽いじめ早期把握と解決のための専用部署の設置を検討する考えを示しました。
日本自治委員会の上原瑞貴副議長は、「多くの点で方向性や認識が一致している。子どもの権利や意見表明を第一に尊重する姿勢を打ち出したことは、まさに新時代にふさわしい。」と好意的に評価しました。そのうえで上原氏は「森澤氏に対しては一致しなかった点を中心に要望を続けている」と述べ、政策の実現に向け、さらなる交渉を進めていることを明らかにしました。
10月2日投開票の品川区長選をめぐっては、これまでに森澤氏のほか、石田秀男区議(自民)、西本貴子区議(無所属)、元銀行員の山本やすゆき氏が立候補の意向を示しています。日本自治委員会によりますと、森澤氏を除く3名は、9月5日現在、政策要求に回答していないということです。
<参考>日本自治委員会の政策要求と森澤氏の回答(比較対照)
要求1 米田教育次長の「セクハラ指導容認」答弁の撤回を。森澤氏の回答 学校における実態把握を進めるとともに、児童・生徒が主体的に校則を見直す取組みを進めていきます。
要求2 「生活のきまり」 「校則」等(以下「校則等」という。)について、児童生徒の人権を侵害する条項を直ちに 廃止し、校則等の内容をすべての区立小中学校および義務教育学校のホームページ上に公開すること。森澤氏の回答 学校における実態把握を進めるとともに、児童・生徒が主体的に校則を見直す取組みを進めていきます。要求3 児童生徒による自治組織の権限を拡充し、児童生徒による学校運営への参画権確保を。森澤氏の回答 学校運営において、児童・生徒の意見が反映されるよう取り組んでいきます。要求4 「子ども議会」「子ども区長」を設置し、子どもたちの要望を子どもたち自身で実現したり、区政に反映できるようにすること森澤氏の回答 東京都こども基本条例に基づき、こどもの意見が区政に反映される仕組みの導入を検討します。要求5 いじめ・「体罰」等に迅速に対処するため、区長部局に「監察課」を設置し、加害者・被害者や学校などに直接調査し、出席停止や懲戒処分の勧告権付与を。また、児童生徒・保護者が区長部局に直接通報できる仕組みを。森澤氏の回答 寝屋川方式を参考に、いじめの早期把握と解決のための専用部署の設置を検討します。要求6 重大な感染症の流行時に児童生徒が自宅でオンライン双方向型授業を受けられる体制整備を進め、感染拡大時は、直ちに双方向オンライン授業に切り替えること。森澤氏の回答 感染時だけでなく、不登校を始めとして学校に来られない子どもたちのためにも、双方向のオンライン授業の確立は喫緊の課題であり、取り組んでいきます。要求7 感染への不安を訴える児童生徒や不登校の児童生徒が登校せずに自宅でオンライン授業を受けられる「登校選択制」実現を。森澤氏の回答 感染症の影響下等における登校選択制の導入は前向きに検討するとともに、平時においてはオンライン学習を出席扱いとする要件を提示することができるよう検討を進めていきます。要求8 区営の子ども食堂を区内にくまなく整備し、放課後の児童生徒の居場所機能・学習支援サービス・貧困家庭児童生徒に対する無償給食支援提供を。森澤氏の回答 放課後の子どもの居場所づくり、学習支援の充実は重要な課題であり、順次取り組んでいきます。要求9 子どもたちの表現・創作活動の自由を保障し、教育職員が検閲や妨害を行わないようにすること。森澤氏の回答 こども達の表現の自由を保障することは重要であり、学校における指導の実態を把握した上で適切に対応してまいります。要求10 給食費の段階的無償化を。森澤氏の回答 学校給食の段階的無償化に取り組んでいきます。要求11 教育委員会教育長・教育委員の任命にあたっては、区議会で公聴会を開催し、任命を受ける者が過去に問題を起こしていないかどうか検証する機会を十分に確保すること。森澤氏の回答 教育委員会の人事は品川区の教育環境をより良いものとする上で非常に重要であり、適切な仕組みを検討してまいります。要求12 子どもたちが自ら有する権利を把握し、行使できるように日本国憲法や子どもの権利条約について学ぶことができる機会を提供すること。森澤氏の回答 こども自身が自らの権利を把握し行使することは重要であり、都議として、東京都こども基本条例の制定に尽力してきました。品川区においても、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもを権利の主体として尊重し、こどもの最善の利益を最優先とする環境づくりに取り組んでいきます。
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