大崎高校前KDF
学校前で活動中の日本自治委員会活動員(校民防衛隊員)

ある日突然あなたの学校の校門前に現れ、教師や学校、教育委員会を批判するビラを配る団体―日本自治委員会。私たち日本自治委員会とは何者なのか。そして何を目指しているのか。校民日報特別連載企画「あたらしい自治」では日本自治委員会が進める「あたらしい自治」とは何なのか、皆様にわかりやすくお伝えしていくつもりです。第1回目の今回は「誰も助けてくれない・・・だから日本自治委員会。」ということで、今の校民が置かれている現状とその解決策としての日本自治委員会の活動についてお話していきたいと思います。

日本自治委員会を一躍有名にしたのが「目黒九中事件」。2020年7月8日朝8時頃、日本自治委員会の活動をしている高校生が目黒区立第九中学校の近くでビラを配っていたところ、目黒区立第九中学校の高橋秀一副校長に追いかけまわされたあげく、高橋を殴ったとして逮捕されたのです。いきなりぽっと出みたいな感じで有名になっちゃいましたが、なにぶん昨年発足したばかりの若い組織なので私たちの組織の実態について世間ではほぼ知られていません。そのせいで日本自治委員会を旧学生運動の亜種とか、左翼系党派と誤解される方が非常に多いです。例を挙げればキリがありませんが、中核派系とか革マル派系とか共産党系とか国民民主党系だとか―本当にいろいろと言われています。でもね、私たちどこの党派にも属していないんです。「革命」とか興味ないんです。私たちが取り組んでいるのは、学校現場、家庭、バイトなどでの生徒の自由と人権を守ること。そしてそれぞれのフィールドで生徒の権利を拡大すること。私たちは日本国憲法と子どもの権利条約が保障する子どもの人権を保障させる、それだけなんです。

学校の人権環境は「北朝鮮」レベル

19.09.30 髪を黒塗り
画・磯田航太郎

我が国では「ブラック校則」や理不尽な指導、児童生徒の学校運営への参画が認められていないことが非常に多くみられます。制服強制、髪染め禁止、髪型の制限、下着や肌着は白色強制、寒くてもプール強行などなど、生徒の自由と人権は踏みにじられ、私たち児童生徒はまるで監獄のような暮らしを強いられています。

日本テレビの情報番組「スッキリ」では、小学校で体育の授業の際に児童が肌着を着用することが禁止されていて、男性教師が女子児童の胸の成長をチェックして許可を出せば着用が認められる事例などが報じられています。また、都立高校全日制177校のうち、頭髪に関する規定がある学校が150校(84.7%)にのぼっていて、さらに全日制の都立高校の45%でいわゆる「地毛証明書」の提出が求められているとの実態が明らかになっています。千葉県ではある女子高校生が教師4人に取り囲まれて黒スプレーを噴霧される指導を受けて、登校できなくなった事例も。文部科学省の2020年度の調査によれば校則が不登校の原因の一つとなったケースは5572人。校則や指導で人権を侵害され、苦しんでいる子どもたちがいかに多いか明白です。一方で学校や教育委員会は意味不明な理屈をこねくり回して、子どもたちの自由を奪っています。東京都教育委員会の藤田裕司教育長は「ツーブロックの髪型は事故にあう」と珍妙な見解を披露し、ツーブロック禁止の校則・指導を正当化。また、東京・品川区教育委員会の米田博教育次長は生徒の下着を目視で確認する校則や指導は「まだ心身の発達の過程である生徒に対する適切なもの」「セクハラのご指摘とは別次元」「人権侵害等のご指摘には当たらない」と強弁しました。実際の学校現場でも生徒の人権を踏みにじるような指導は相次いでいます。

誰も助けてくれない…生徒の自助努力では限界がある

2017年に大阪府立懐風館高校で髪を黒色に染め直すよう威圧的「指導」を受けた女子生徒が不登校に追い込まれ、訴訟になりました。しかし判決は学校の指導を容認するものでした。2021年10月28日に大阪高裁も地裁の判決を追認し、控訴棄却。憲法で保障されているはずの生徒の基本的人権が校長の権限で否定されることを裁判所が認めてしまったのです。裁判所の判決では「頭髪指導は、卒業生から基準や目的が分からないなどの声があり、その効果を得られていない可能性があるが、学校教育には広い裁量が認められ、違法とはいえない」としていて、「広い裁量」のもと、教師が人権を踏みにじる指導を行うことを容認しました。

このように裁判所ですら私たち児童生徒の自由と人権を守ってくれないのです。議会制民主主義も公正な司法も、そして基本的人権を保障しているはずの憲法も、私たち児童生徒を守ってはくれません。

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文部科学省(ISJ=10月5日、平松けんじ撮影)

萩生田文部科学大臣(当時)は、2021年2月9日の閣議後会見で「声を出して行動を起こしてみるっていうことは学生の皆さんにとっても貴重な経験」「先生方や父兄や学生の皆さんもなるほどと、その通りだという共鳴をされるような、そういう活動をする中で、例えば校則を変えていくことは民主的にあってもいいんじゃないか」と述べました。彼の言い分では児童生徒自身が立ち上がり、学校側と対峙、交渉しなければならないというのです。しかし私たち児童生徒自身が単独で立ち上がることは極めて困難です。なぜなら中学校であれば高校に入るための「内申点」で教師から脅され、従わなければ不当に点数を下げられてしまい、それこそ行きたい高校に入れなくなってしまう。学校によっては校則の議論をしたら教師に反省文を書かされる―極めてアンバランスな力関係の中で児童生徒自身が校則の改正に向けた議論を校内でできるわけがありません。

教委主導では動かない 生徒会は制度的限界

昨今、文科省をはじめ各地の教育委員会がやっと重い腰を上げ、校則の見直しが進んでいるものの、あくまで教委主導で学校はなかなか動きませんし、校則見直しの過程であっても未だに下着の色を目視で確認するような指導が継続されています。こうした中、生徒会などの生徒組織に校則見直しに際して意見を聴取するという取り組みが行われている学校があります。しかしこうした取り組みも校長次第、校長が生徒の声を聞くかどうかによって大きく左右されてしまいます。そして、そもそも生徒会は学習指導要領上の「特別活動」に位置づけられており、一応教育課程の範囲内なのです。つまり、教師の指導を受けなければならない。支配する教師側の指導を受けながら校則の見直しを行うことが果たしてできるのでしょうか。

20.05.20 制服導入強行
画・磯田航太郎

例えば都立北園高校では髪染め規制を強める学校側に対し、生徒会などが繰り返し反対の意思を示していますが、学校はどこ吹く風で生徒の声をなかなか聞こうとしませんでした。また、ある都立高校で数年前制服導入に生徒会が生徒総会で決議してまで反対したにもかかわらず、校長が導入を強行するなど、生徒会は校長に軽視されがちです。

何故生徒会の意思が学校運営に反映されないのか。それは生徒会の意思を無視したところで校長も教師も「痛い思い」をしないからです。例えば生徒会が校則を見直せという意見表明をして、校長がそれを無視したら、校長の自宅に生徒会の街宣車が1日中張り付くとかいうことであれば、校長も生徒会の言い分を聞くでしょう。しかし今の生徒会は教師の指導下にあるため、校長が生徒会の意向を無視すると決めたらもはや抵抗手段がないのです。生徒会、そして生徒の総意を完遂する執行手段をもたない生徒会では校長に無視されるのは当然と言えます。

校民の自由と人権の執行者ーそれが「日本自治委員会」

私たち日本自治委員会は、この点で生徒の意思を完遂する執行能力を持っています。日本自治委員会は、学校前や近隣の学校前などで何か月間も毎日毎日ビラ撒きをしたり、学区内全域へのポスティング、そして学校長や教育長の自宅周辺に彼らを非難するビラを投函するなどして、ブラックな学校運営の実態を白日の下に晒します。特に高校ではこのように受験生たちに「この学校は人権を守らない極めて危険な学校である」と周知啓発されることで、入試の倍率が下がることもあるでしょう。児童生徒の側の声を学校側が無視するなら、社会に対して「見える」形で周知啓発を行い、ブラックな学校運営の実態を白日の下に晒す―これが児童生徒の側がとれる唯一の反撃策です。私たち日本自治委員会は児童生徒の皆さんの声なき声を学校側に聞こえるようにする「力」を持っています。日本自治委員会の人権特別啓発部隊「校民防衛隊」があなたの学校の前に現れ、ビラを配ることで通行人や地域の人々、そして学校や教育委員会自身にあなたの学校での人権問題を自覚させることができるのです。

そして何よりあれだけ児童生徒たちに強権を振りかざしている教師たちが校門から一歩外では校民防衛隊のビラまき一つ止められやしない―教師の「虚像」的権威は間違いなく失墜します。「自分の意見を言ってもいいんだ。教師なんて大したことはない。偉そうだけど、自分たちと同じ人間だ。」と児童生徒は思うでしょう。それだけでもその学校内での児童生徒と教師のパワーバランスに影響を与えることができます。児童生徒の声を無視し、踏みにじっている学校ほど、児童生徒が立ち上がるよい契機になるでしょうし、結果として児童生徒の人権を守る方向に動かざるを得なくなります。

当然、短期的視点で見れば校民防衛隊が連日登下校時に現れれば、苛立つ地域住民もいるでしょう。しかし児童生徒が声を挙げても、保護者が声を挙げても、学校は人権侵害の校則・指導をなかなかやめようとしないじゃありませんか。さらに言えば、地域住民が積極的に児童生徒の服装や頭髪について「好ましくない」などと学校に苦情を入れ、学校を通じて児童生徒の自由を奪うケースはよく聞く話です。私たち日本自治委員会からすれば地域住民、保護者が児童生徒の自由と人権を守ろうとしないのであれば、私たちが代わりに執行しなければならないと考えるのは当然です。学校周辺に住んでいて学校に意見を言える立場の大人が児童生徒の自由と人権を守る行動を起こしていないのなら、私たち日本自治委員会が代わりに行動することを止める資格はありません。

私たち日本自治委員会は、児童生徒の自由と人権を守るためであれば嫌われ者になってでも人権特別啓発行動を執行します。日本自治委員会の執行部隊「校民防衛隊」は今日もどこかの学校前で自由と人権を守るために戦っています。

(上原瑞貴・日本自治委員会副議長)
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